(エプソム競馬場のグランドスタンドから見る最後の直線)

2018年6月2日(土)、イギリスのエプソム競馬場に英ダービーを観戦しに行ってきました。

海外の競馬場には何度も足を運んでいますが(18年6月現在、8ヶ国、16競馬場に訪問)、タイ、フィリピン、マレーシア、韓国、スイスなどマイナーな競馬場が意外と多く(個人的にアジアが好きなのもありますが)、世界的に有名なレースを現地で観戦したのは、凱旋門賞、メルボルンカップくらいでした。

日本でもお馴染みのドバイミーティング、香港国際競走もいつか観戦してみたいですが、昔から英ダービーは観戦してみたい競走の1つだったので、今回、ディープインパクト産駒サクソンウォリアーが英ダービーに出走することもあり、折角の機会なので現地に行ってきました。

今回は英ダービーの基礎知識から実際に行って見て分かったことなどをまとめてみました。

英ダービーの基礎知識

英ダービーとは?

(内馬場から見た直線)

ダービーといえば、英ダービーを指すように世界各国で行われているダービーの基になった競走。

第1回は1780年。日本ダービーの第1回は1932年なので歴史の重みが違いますね。

驚くべきことは、第1回からずっとエプソム競馬場で行われていること(戦時中はニューマーケット競馬場で開催)。日本ダービーの第1回は目黒競馬場ですし、250年弱も同じ競馬場で同じレースが行われているのは世界を見渡しても英ダービーくらいなのではないでしょうか。

歴史が深いだけに過去には様々なことが起こっており、替え玉事件(勝ち馬が4歳馬だった)、1着同着で後日に決勝レースを施行、確定して払戻し後に1着馬が失格、最終コーナーで人が乱入して死亡などあったみたいです(笑)

過去の勝ち馬には、現代の日本競馬にも大きな影響を与えているニジンスキー、ロベルトらの名前も。近年ではガリレオ、ハイシャパラル、ニューアプローチ、シーザスターズらが勝利を収めています。

エプソム競馬場の場所

エプソム競馬場はロンドンの郊外に位置しています。

ロンドンの中心街からは電車で1時間~1時間半程度。日本で例えるなら東京駅⇔府中競馬場の距離感でしょうか。近いようで遠く、遠いようで近いです。

エプソム競馬場への行き方(アクセス)

(競馬場前の広い駐車場)

電車で行く場合、最寄りの駅は、Epsom Downs駅Tattenham Corner駅です。最寄りといっても両駅とも競馬場とは少し離れています。

Epsom Downs駅から競馬場までは徒歩で約20分、Tattenham Corner駅からは徒歩で約10分。Tattenham Corner駅の方が近いですが、ロンドン中心街からはEpsom Downs駅の方が行きやすいです。駅からタクシーを使えば、競馬場まですぐに着きますが、歩いていると競馬場が段々と見えてきてテンションが上がってきますし、駅からは徒歩でいくのがいいでしょう。

なおロンドンの電車の切符は片道切符と往復切符があり、往復切符の方が断然お得です。

私は今回、ロンドン中心街から少し離れたキングストンという街に滞在し、行きも帰りもUber(帰りはタクシー)を利用しました。Uberで行きは20ポンド(約3,000円)、タクシーだと40ポンド(約6,000円)。私は週末の予想もあったので、時間を省略するために車で行きましたが、予想がなければ、普通に電車で行っていたと思います。ロンドンは物価が高いので、時間に余裕があれば、電車で行くのがいいでしょう。

英ダービーを観戦して分かった4つのコト

入場料は欧州式で高い

(いくつかある入場門の1つ。Investecはスポンサー。)

欧州ではビッグレースになると、通常とは異なる入場料金が設定されることが多く、英ダービーも同様でした。

英ダービーはどこのエリアで見るかによっても料金が異なり、私は今回、Grandstand Enclosureで観戦。ゴール板前のエリアで見れる入場券です。

料金はなんと65ポンド(約10,000円)。指定席があるわけではなく、ただの入場券ですからね…。ちなみにGrandstand Enclosureの指定席アリだと150ポンド(約23,000円)でした。

ちなみに前日のオークスデーはLonsdale Pedestrianで観戦。こちらは内馬場の入場券。料金は25ポンド(約4000円)でした。

入場券は必ず事前にネットで購入しましょう。競馬場の入場門付近にはダフ屋みたいな人がいたので、当日購入だと入れないエリアもありそうです。

ドレスコードについて

(ダービー発走前のスタンド。ノーネクタイの人もチラホラ。)

海外のビッグレースになると日本人が気にするのは「ドレスコード問題」。

男性であれば、スーツにネクタイ、女性であればドレスを着ていくべきなのか悩む方が多いかと思いますが、これまで凱旋門賞、メルボルンカップ、英ダービーなどを観戦してきた経験上、ドレスコードは気にし過ぎないでもいいといえます。

高価な指定席で観戦する場合はそれ相応の格好が必要かと思いますが、一般的な席での観戦であれば、ドレスコードはほとんどありません。もちろん欧州の競馬場はオシャレをしている人が圧倒的に多いので、普通の恰好でいくと浮きますが、チノパンにジャケットくらいで十分でしょう。

エプソム競馬場は“競馬場”ではなく“丘”

(最後の直線。レースの合間になんと横切れる!)

エプソム競馬場に実際に行ってみての感想ですが、“競馬場”というよりも“丘”という言葉の方がしっくりきました。

向上面の見えないところから発走してワンターンの芝2400m
高低差が意味不明の40m
直線の見た目でも分かる急な上り坂

よく考えるとこのカオスなコースで英最強馬を決めるというのは、日本で例えるなら不良馬場の阪神芝3000mで3歳最強馬を決めるくらいのことな気がします(笑)

日本でいう競馬場の概念とはかけ離れており、丘の中を馬が走るようなコース。ディープインパクト産駒のサクソンウォリアーが負けるのも当然だと思いました。

内馬場が意外とオモシロイ

(内馬場がとにかく広い!)

ダービーデーはグランドスタンドで観戦していたのですが、オークスデーは内馬場で観戦。これが意外と良かったです。

観戦的に良かったのは、レースが非常に見やすかったこと。エプソム競馬場は芝コースのみなので、内馬場とコースの距離が非常に近く、内馬場でも見応え満点。むしろ本スタンドでは人が集まりやすく、競馬熱心なファンが多いので近くで観戦するのが大変ですが、内馬場は家族でゆっくり楽しむみたいな層が多いので、内ラチで見ようと思えば、見ることができました。私自身、ダービー前日のコロネーションカップ、オークスはラチ沿いで観戦。写真を本気で撮りたいのであれば、内馬場に行ったほうがいいでしょう。

(内馬場から撮影。コロネーションカップを制したクラックスマン。)

あとビックリしたのは内馬場に遊園地があったこと。日本の競馬場の内馬場には子どもが遊ぶふわふわのアトラクションがあったりしますが、エプソム競馬場にはガチな遊園地がありました。競馬場に家族連れを呼び込もうというのは世界共通の様子。しかし、エプソム競馬場の力の入れようはすごかったです。

(内馬場の遊園地。レース中もキャーキャーと悲鳴が。)

エプソム競馬場は最高でした!

(内馬場から本スタンドを見た風景)

これまで国内、海外の様々な競馬場に訪れましたが、

エプソム競馬場は本当に格別

でした。

エプソムの丘を馬が横一線に広がって駆け上がっていく。馬がただ走っているのを見ただけで感動したのは初めてでした。それくらい特別な空間でした。

ダービーを見終えた帰り道では「来年も行きたい!」と思ったほど。本当に来年も行くかどうかは分かりませんが、いずれにせよ近い将来にまた行こうと思います。

「海外の競馬場に一度でもいいから行ってみたい」という方がいれば、私はエプソム競馬場でのダービー観戦を圧倒的にオススメいたします。競馬観が変わること間違いなしでしょう。

エプソム競馬場で撮影した写真いろいろ

(コロネーションカップはクラックスマン→ホークビルの馬単100ポンド勝負!も…)

(内馬場では犬連れの人もチラホラ)

(若い女性のブックメーカー。発売所によってオッズが少しだけ異なります。)

(内馬場はシートや椅子を持ってきての観戦が目立つちました。)

(ビール販売所。野球場の売り子のような人もたくさんいました。)

(エプソム競馬場のパドック)

(パドックで作戦会議中?)

(パドック周回中のサクソンウォリアー)

(サクソンウォリアーにムーア騎手が騎乗するところ)

(英ダービーを制したマサー)

そのほかの遠征中に撮った写真

(滞在中、唯一観光したウィンザー城)

(ウィンザー駅からウィンザー競馬場へは船で移動)

(ウィンザー競馬場のブックメーカー)

(ウィンザー競馬場のゴール前)

(ウィンザー競馬場の場内。エプソム競馬場よりはローカル感が漂う。)

(ハンバーガー1つで約2000円。イギリスの物価の高さを感じる瞬間)

(日本食が恋しくなって日本食料理屋Wagamamaで食べた焼きそば)

(毎朝、食べていたホテルのバラエティのない朝食)

(帰りの飛行機。行きも帰りも隣が空いていたのはラッキーでした。)