@h_r_p_studio さんの写真。)

有馬記念2017の予想考察第2弾です。

今年の有馬記念はキタサンブラックの取捨が第1テーマになりそうですが、それと同時に重要になりそうなのがハーツクライ産駒の取捨。現時点での人気順を考えると、

1番人気キタサンブラック(父ブラックタイド)
2番人気シュヴァルグラン(父ハーツクライ
3番人気スワーヴリチャード(父ハーツクライ

という並びになりそうで(もしかすると2、3番人気は入れ替わるかもしれませんが)、キタサンブラックに次いで人気を集めそうな2頭はともにハーツクライ産駒。同産駒のキャラを理解しているかどうかで、シュヴァルグラン、スワーヴリチャードの評価も変わってきそうです。そこで今回は有馬記念におけるハーツクライ産駒2頭の取捨を考えてみます。

その前に今週の週間SPAの有馬記念特集でTAROさんと対談させて頂きました!

枠順発表前での対談なので当日の予想とは多少変わるかもしれませんが、基本的にはここで取り上げた4頭を買いたいと思っているのでもしよければご一読ください!

持続力型で大物食いのハーツクライ産駒

まずハーツクライ産駒で活躍した馬をザッと書いてみましょう。

ジャスタウェイ
シュヴァルグラン
ウインバリアシオン
ヌーヴォレコルト
フェムゲーム
アドマイヤラクティ
カレンミロティック
ワンアンドオンリー
リスグラシュー

馬名を見れば一目瞭然ですが、ハーツクライ産駒は基本的にじわじわと脚を使う持続力型に出やすいのが特徴。トップスピードまで上げるのに時間がかかる反面、そのトップスピードを長く使うことができます。

また種牡馬の中で相当優れた持続力を持っているので、ポテンシャルが問われるレースで人気馬を打ち破ることがしばしば。13年天皇賞(秋)でジェンティルドンナに4馬身差の着差をつけたジャスタウェイ、14年オークスで単勝1.3倍のハープスターを下したヌーヴォレコルト、17年ジャパンカップでキタサンブラックを差し切ったシュヴァルグランなど。伏兵の立場で圧倒的な人気馬を負かすシーンがよくあります。

ハーツクライ産駒の最大の特徴はこの「持続力型」でその持続力が要求されるレースにおいての「大物食い」があることです。

逆に短所はまさに長所の裏返しですが、「瞬時に動けないこと(加速力&瞬発力不足)」かつ「人気を背負って勝ち切れないこと」です。人気で勝ち切れないのは現代競馬が基本的にポテンシャルがストレートに要求されるレースになりにくいからでしょう。現代競馬は持続力より加速力、瞬発力、立ち回り力のほうが求められるので、ハーツクライ産駒向きのレースになるレースのほうが少なく、人気を背負っての取りこぼしがあるのだと思います。

G1での好走は東京、京都外回りに集中

個人的にデータは理由付けできるかどうかが重要だと思っていますが、ハーツクライ産駒のキャラを踏まえると、以下にまとめたハーツクライ産駒のG1の場所別成績は非常に納得する傾向が出ています。

◆ハーツクライ産駒のG1の場所別成績(2011年以降)

上にまとめたのはハーツクライ産駒のG1の場所別成績(2011年以降)。2、3歳限定戦は能力だけでカバーしてしまうケースがあるので、古馬混合のG1に限定して集計しました。

まず勝ち馬を出しているのはすべて東京。13年天皇賞(秋)ジャスタウエイ、14年安田記念ジャスタウェイ、17年ジャパンCシュヴァルグランです。

次いで好成績を残しているのは京都(すべて外回り)。勝ち馬は出ていませんが、コンスタントに2、3着馬を輩出しています。

つまり良績は完全にゆったりと走れる東京や京都外回りコースに集中しており、逆に中山や阪神の小回りコースでは苦戦気味。東京&京都外回りのG1とそのほかのG1で分類すると、

東京&京都外回りG1【3.7.4.33】(勝率6.4%、連対率21.3%、複勝率29.8%、単回収率64%、複回収率107%)
そのほかのG1【0.2.0.20】(勝率0.0%、連対率9.1%、複勝率9.1%、単回収率0%、複回収率48%)

と明暗がハッキリしています。

シュヴァルグラン&スワーヴリチャードの取捨は?

今年の有馬記念はキタサンブラックの単騎逃げで、スローペース濃厚というのが現時点での見解。その展開になれば、求められるのはハーツクライ産駒が苦手な加速力や立ち回り力になるはずで、同産駒が力を発揮しにくいレース展開になると見ています。

加えてハーツクライ産駒のG1の場所別成績を見ても明らかに東京や京都外回り>そのほかのコースですし、東京→中山替わりでパフォーマンスを落とすと考えるのが自然でしょう。

とここまで否定的なことを書きましたが、困ってしまうのがシュヴァルグランにボウマン騎手、スワーヴリチャードにMデムーロ騎手が騎乗すること。二人とも一流の騎手ですし、馬の弱点を騎手力でカバーする可能性が十分にありそうなんですよね。仮にペースが遅くてもキタサンブラックを徹底マークして強気な競馬をすれば、自分から持続力勝負に持ち込むことも考えられますし、実際にそういう騎乗をしてくるのではないでしょうか。基本的には人気を考えて重い印は打たないつもりですが、乗り方ひとつで好走しても不思議ではないかもしれません。

以上、有馬記念2017の予想考察でした。